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6 日本社会の現在   日本人は幸せか?

1.幸福とは?

1.1 古代・中世には

人間は誰でも幸福になれる 古代中世倫理学の命題

           個人の行為の適否が問題

      現世は涙の谷  中世カトリック教会の教え 此岸の幸福と彼岸の幸福

 1.2 近代になると

人間は誰でも幸福を追求する権利がある アメリカ独立宣言 日本国憲法

  個人の外部の側に問題がある

1.3 19世紀のディレンマ

「幸福な王子」は幸福か? Oscar Wilde (1854-1900)

 『幸福論』 Carl Hilty (1833-1909) 

物的欲望の充足よりも精神的満足を

 1.4 20世紀を経験してみると

      「幸福」の増大にではなく、「苦痛」の減少にしか「進歩」の基準は見いだせない 市井三郎『歴史の進歩とはなにか』(岩波新書)

                        積極的「幸福」と消極的「幸福」

 1.5 過剰富裕化の時代には?

      モノの豊かさとココロの貧しさ   物的欲望がアイデンティティを支える

      欲望の罠             満たされることのない欲望

 1.6 グローバリゼーションのなかで

「幸福を追求する権利」には制約はないのか?

                     現在の他者はライバルにすぎないのか

将来の人びとの幸福を犠牲にして良いのか     

2.日本人の幸福観

2.1 前近代では

モノへの欲望レベルは低い

 富の現実態(財宝)の貧困 金製品の少なさ 土地・貨幣の供給限界性 

 巨富蓄積の可能性の低さ  帝国形成は困難

 共同体の抑制作用

ココロの安らぎ・充足への願望は高い

       自然信仰 祖先霊・地霊信仰 宗教(神道・仏教・カトリック教)

規範体系(儒教・国学) 芸術(美・わび・さび)

芸能(歌舞・音曲) 文学(詩・小説・戯曲・随筆・記録)  

 2.2  近代化のなかで

      モノへの欲望の開放

       商品の多様化 貨幣の増殖力の拡大

       木下順二『夕鶴』

      新しい欠落感、ココロの不安、それからの解放への願望

       近代科学によるカミ殺し 共同体の衰弱

       宗教(国家神道と教派神道、キリスト教)

       規範体系(家督 天皇 国民国家)

       近代思想(民権主義 自由主義 社会主義)

       近代文学(自我の覚醒 ヒュ−マニズム リアリズム)

 2.3 戦後

      アメリカ文明への傾斜 モノへの欲望の肥大化

      日本文化への自信喪失 ココロの価値下落

      ココロの新しいよりどころ

       宗教(新興宗教)

規範体系(個人主義、マイホーム主義、民主主義、人権尊重、平和主義)

思想(マルクス主義、実存主義)

       趣味(スポーツ、映画、読書)

3.現代の日本人は?

3.1 個化した自己が浮遊する時代

     国家からの遊離 日本人意識の喪失

     社会からの遊離 連帯意識の喪失

     家族からの遊離 愛の不在

3.2 モノへの過剰依存

モノによってしか確認できない自己の存在性

 差別化されたモノによって担保される自己

買い物依存症 モノの購買それだけがアイデンティティ確認行為

3.3 ココロのよりどころの喪失

     宗教(オーム真理教、幸福の科学)

     規範体系(会社主義、共生社会)

     思想(文化相対主義、現象学、構造主義)

     趣味(テレビゲーム、テレビ、スポーツ、読書)

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