日本経済史 シラバス7

3 幕藩体制 (2)構造変化

1 経済構造 (1)農民の再生産

  i 純余剰の拡大 生産力の増大+年貢率の低下

      生産力の増大    収穫量の増加  品種の多種化 金肥の増加(魚肥、油粕)

               →刈敷依存度の低下→共同体の平等原理の作用の弱化

    商業的農業の発展 四木・三草 、棉花、菜種、煙草、甘庶、蔬菜

   →水稲作中心主義の変化

              →耕作規制の有名無実化

             畑作  →水・刈敷不要  →共同体の平等原理の作用の弱化

    農村工業の発展  地域的分業= 社会的分業の発達

    年貢率の相対的低下 商業的農業・農村工業の発達への年貢体系の不適合

 階級関係の動揺

  ii 農民層の分解

    a 貧窮分解     年貢の圧力→年貢の借財化→百姓負債の累積→土地喪失

        b ブルジョア的分解 純余剰分をめぐる両極分解  純余剰形成→商業的農業・

農村工業の展開→

              競争原理の作用→両極分解

    農民的土地所有権の移転 双方相対取極至上主義  質流れ禁止令

 田畑永代売買禁止令罰則の緩和

    分解の促進要因 村落内部のヒエラルヒッシュな構成 商人・高利貸資本の役割

     農民層分解の帰結 土地喪失農民  →農村放棄 or 農村残留

 ←土地緊縛規制の強度・村外における就業の可能性・村内副業の可能性

      土地集積農民 →質地手作(地主手作・豪農) or 質地小作(寄生地主)

      地主手作 年雇・季節雇・日雇あるいは譜代・下人を用いる農業経営

       利益額=(総生産物−年貢)×米価−(労働力×労賃+施肥量×価格)

      寄生地主  利益額=総生産物×小作料率×米価

       高率小作料  土地緊縛→競争→高率  権力→高率実現確保

       小作選好大( ←小土地・入会権所有、復活可能性、自立性)

2 経済構造 (2)領主の再生産

   領主経済の危機 領主収入=年貢率の頭打ち 全余剰収奪原則の実現不能←地主取り分の承認

            領主支出の増大 ←消費生活の拡張 ←物価上昇

   領主財政の危機 商人からの負債の増大

   危機への対応  年貢増収策 定免法採用←検見取法( 5公 5民 狙いは6 公4 民)

 新田開発

            流通過程よりの収奪強化( 藩) 専売制 御用金賦課  運上、冥加

           物価政策  米価維持  延取引禁止の解除・酒造米増加・

3 都への回米制限

            諸物価引下げ政策  商人仲間の結成 株仲間停止令  物価引下令

           通貨政策 改鋳

3 権力構造  領主・農民関係 農民的土地所有の強化=所有権移転の半公認

地主的土地所有の公認

                       経済外的強制の弛緩 土地緊縛の弛緩

            農民一揆  代表越訴型 → 惣百姓一揆型 → 世直し一揆型 

        幕府・諸大名関係 全国的土地所有権者・全国市場支配者としての幕府の弱化

            雄藩の台頭

参考文献 大石慎三郎・逆井孝仁・山本弘文・津田秀夫『日本経済史論』 御茶の水書房

        岡崎哲二『江戸の市場経済』 講談社選書

 

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