チロル旅日記3

 

2・24

 
 朝食後、早めに出かける。9:15、
Galzigロープウエーに乗り、少し下ってリフトに乗って昇り、さらに長く下ってまたリフト。それから長い下りを滑り、Alpe Rauzでスキーを脱いでバスを待つ。10:30になっていたから、山越えに1時間15分かかったわけだ。 こことLech間の青い地方バスに乗って、終点まで無料。

Lechではまた西側斜面を滑ることにして、リフト2本を乗り継いでKriegerhornに昇る。晴天で銀嶺が美しい。下りて、Hochlichtへのリフトに乗る。先日よりも人出が多い感じだ。35ルートから62ルートに出て滑ると、Tバーがある。恵子を待たせて見に行くと、そのまま下りられることが分かったので、Tバーで戻り、滑り下りる。

途中のホテル・レストランのテラスで昼食。水、アールベルグ風大麦のスープ、キノコのリゾット。スープは相変わらず塩辛いが、具沢山で、パンも3つ付いてきた。リゾットは、米が太って大きい粒で、変わった食感だ。勘定はチップ共15Eで、水はサービスだった。昔風の風格あるホテル・レストランなのに、スキー場としては安い。レストランの中から、ぞろぞろ子供達が出てきた。5歳前後で、7人から10人が組になってスキー練習をはじめた。ストックを持たせないで、ボーゲンから教えている。こんな歳から仕込まれるのだから、みんな上手なわけだ。

下まで降りてから一番北にある初めてのリフトに乗る。先日昼食をとったレストラン脇を滑って、リフト。もう一本リフトで、Juppenspitzeへ。また、Kriegerhorn Hochlichtを滑って、34ルートで教会脇まで下りる。無料バスでAlpe Rauzに戻り、ポストバスに乗り換えてSt.Antonに帰る。バス代は@2.3Eと安上がり。

絵はがきを買って帰室。バルコニーの雪で冷えた白ワインを開けてのどを潤す。カビネットクラスのシャルドネで、なかなか美味しい。半分は食後に回して、夕食。カボチャのスープ、モツァレラとトマトのカナッペ、サラダ、豚ひれ肉のソテー、ムース。ひれ肉は丸ごと10cmくらいのをソテーして斜めに切ったもので、始めて見る料理法だ。大味なので、サラダ用のオリーブ油で味付けする。

食後は、部屋で残りの白ワインを楽しむ。
 

 

2・25


 恵子が疲労で午前中は休養することになったので、ひとりで、Rendlを滑ることにする。広場から、Rendl Directというロープで引っ張る装置と昇りの動く歩道を組み合わせた移動手段で接近し、最後は道路の下をくぐるトンネルを滑り下りてロープウエーに乗る。6人乗りのキャビンで、10数分かかる長い空中移動で、St. Antonのゲレンデは見えなくなるところで降りる。ピステ以外の斜面には、シュプールが描かれたり、大小のコブが作られていて、全山がスキー・ゲレンデと言う感じ。岩の露出と樹木がないので、好きな所を滑れるわけだ。このあたりのスキー場は、ほぼ同じようで、日本のように、オフピステはほとんど滑れないというのとは大いに異なる。われわれには、猫に小判だが、ここらが、チロルスキーの魅力なのだろう。

赤コースと一部黒コースを滑るが、雪質が良いし、ピステの幅が広いので難しくはない。キャビンの下をくぐるようなリフトなどを6・7本滑ってから、ホット・チョコレートで一休み。下りにかかる時間が分からないので、早めに降りることにする。長い赤コースを降りて、ロープウエー乗り場まで。無料バスで広場に戻る。

恵子との約束時間の1時半には間があるので、Gampen Kapallのリフトで赤コースを数本滑べる。1時過ぎにロープウエーまで降りると、もう恵子が待っている。宿の女主人が車で外出するところだったので、乗せてきてもらったとのこと。

GalzigからVallugagratへとロープウエーを乗り継ぐ。山頂レストランで昼食。スープ、ソーセージ、コーヒー、紅茶で16E。食後、6人乗りの小型ロープウエーでValluga山頂へ行く。このあたりの最高峰(2811m)からの景色は絶品。展望台からはチロルの山波が360度広がる。有名な峰があるわけではなさそうだが、峰峰の形状はさまざまで面白い。烏より小さい黒い鳥が雪の斜面に沢山とまっている。ここからスキーで滑る冒険者もいて、切り立った斜面を、飛び降りるように下っている。女性も平気で降りていくからすごい。

Vallugagratに戻り、スキーを抱えてGalzigまでのロープに乗る。下で待ち合わせて滑りたかったが、Galzigのロープ降り場までのルートが複雑なので、たどり着ける自信が無かったから、ロープで同行することにした。Osthangのリフトまで滑って乗り、帰路につく。皆さん帰り道で、すごい混雑。ゆっくり降りて、今回のチロル・スキー終了。

スキーを返すと40E返金してくれた。保証金をとっていたらしい。スキーパスも返すと@4Eの返金。街を下ってスーパーで、Karreeshinkenを1パックとビールを購入。みやげ物屋でピンバッジをひとつ仕入れたが5.5Eで、これまで買った各地のバッジのなかでは最高に高値。エーデルワイスをあしらった上等なバッジだ。地元食品の店では、各種のハム・ソーセージを売っている。パウンドケーキのようなものを巻き込んだパンを1片購入、2.5E。この街には、みやげ物店が少ない。サンアントン饅頭などは売っていない。日本のスキー場のような雰囲気はない。

部屋でビールを飲んで一休みしてから夕食。オーストリアにはロゼワインの良いのがあると旅行書に書いてあるので聞いたが、ハウスワインには無いとのことで、白ワインを頼む。ボルシチ、ナスとキノコのクリームソース煮、サラダ、ラムステーキ、アップルケーキ。ボルシチは、ビーツ、赤キャベツなどをあっさり煮たコンソメスープだった。

支払いを済ませて、明日のタクシーを頼む。恵子が、荷物をパック。いつものことだが、パッキングは恵子まかせ。
 

 

2・26

 
 急いで朝食、タクシーで駅に。8:12のウイーン行きに乗る。雪の農牧地が続き、ブリューゲルの冬の狩人のような村と森が過ぎていく。ザルツグルグで下車、ロッカーに荷物を入れて、インフォでキッチンウエアの店を聞くと、前に見た店を紹介してくれた。旧市街の近くなので歩いていく。トイレに行きたくなったので、ピザ店で昼食。ビール、コーヒー、ピザで12E。

キッチンウエアの店に行くが、1時で閉店。ウインドウを覗くが、生ハムスライサーは出ていない。昼食を後回しにすれば良かったが、後の祭り。駅方向に戻る。C&Aの雑貨店には、ナイフしかない。駅前のショッピングセンターで、モーツアルト・クーゲルを購入。スライサー欲しさに下車した甲斐が無かった。

15:10のウイーン行きに乗る。雪は少なくなり、土が顔を見せているところもある。到着20分くらい前から、郊外住宅地らしい。18:30、西駅下車、U3でFolkstheater、次に#49に2駅乗って降りて歩く。Viennart Hotelにチェックイン。

Esterhazykellerに向かってU3でHerrengasseに。店はすぐ見つかった。階段を降りると、まさにケラーで、混んでいる。空き席を見つけて座るが、大人数席なので、空いた4人席に移る。天井は、レンガのアーチで、もとのワイン倉庫跡とのこと。ビール、白ワイン2種を頼んで、つまみを買いに行く。売店でひき肉団子のフライ、焼いた豚バラ、モッアレラチーズのハム巻き、パンで13E。モッアレラのシンケン巻きはオリーブオイル漬けで美味しい。赤ワインを1つ追加して堪能する。ワイン類は、11E。安くて美味しい店だ。日本人客もいて、バイオリンとアコーディオンの楽師に日本歌謡を3曲弾いてもらっていた。一人でビールを楽しむ老人や地もとの仲間たちが気軽に飲んでいる雰囲気の良い店。ワインは昔の城にちなんだ店名から、シュロスワインの白が名物で、美味しい。バラの香りがするという

U3で戻る。

 

2・27

 
 朝食は普通だが、コーヒーが抜群に美味しい。雪が降っているので、ウイーンの森に出かけても仕方なかろうと、ドナウ河を見に行くことにして、リングでSchottenringまで行き、#31の路面電車に乗り換える。フリードリッヒ・エンゲルス広場というところを過ぎると、ドナウ河。新ドナウ河と2本の流れの中間で下車。かなり川幅の広い河で、2隻の大型遊覧船が並んで係留されている。固定されているようだから、この季節はレストランにでもなっているのかもしれない。雪は止んだが風が冷たく吹きつける中を、ドナウ河を歩いて渡る。ここには、低いが堤防が築かれている。日曜日の河川敷ではサッカーをする子供達やジョギングの若者が見える。遠くに、ウイーンの森が広がっている。

#31で戻って、U4でKarlsplatzへ。市博物館を見学。ケネディ特別展をしていたが、日曜は無料開放の通常展だけを見る。出土品や砂岩の宗教彫刻、武具が陳列してある。ウイーンが、ローマ時代のローマ軍団駐屯地にはじまり、次第に城郭都市として拡大し、城壁と堀に囲まれた中世都市に成長する過程が、模型で示されている。ほぼ今のリングの位置に城塞があったようだ。モーツアルトコーナーでは、壁の楽譜を指でなぞるとヘッドホンからピアノ音が聞こえてくるなど、面白い仕掛けがある。富裕な市民の居室をそっくり再現した部屋、ウイーンにかかわる絵画。3階には、博物館が所有しているクリムト、エゴン・シーレ、ココシュカなどの作品が展示されていて、この博物館の実力を誇示している。外に出るとカールス教会の堂々とした建物が雪に映えている。

U4とU3を乗り継いでHerrengasseへ。デーメルを探すと、Nordseeが目に入ったので魚フライのサンドイッチ2種と水を買う。デーメルでは、ザッハトルテ、クランベリートルテにコーヒー。ザッハトルテは、ザッハの方が美味しい。本家争いをしているらしいが、クランベリートルテの出来もさほどではなく、デーメルの方が格下だ。店の前で、ホームレスを自称する青年からお金をねだられた。断ったが、今度の旅で物乞いを見たのはこれが初めてだ。

王宮を通りぬけてリングでオペラ座の次の駅へ。インペリアル・ホテルのカフェで、インペリアル・トルテを買う。これでウイーン3大トルテが食べ比べられる。リングに乗ってホテルに戻り、サンドイッチで昼食、一休み。

3時過ぎ、恵子はスカート、小生は白タートルネックで、精一杯に着飾ってオペラ座へ。途中、麻薬捜査官を名乗る2人連れに呼び止められた。財布の中まで調べられたが、時間が迫っていたので、争はなかった。恵子は、この類の偽警官がいることを知っていたようだが、パスポートはホテルに置いてきたし、現金は数十ユーロしか持ち合わせていなかったので、被害はなし。

リングでオペラ座前で降りる。正面横から入って案内人に切符を見せて席の位置を教えてもらう。2階のボックス席No.3に入ると、オーケストラボックスが真近に見える。天井や内部の装飾は絢爛豪華。隣のボックスに日本人がいて、なんと上福岡市の尚美学園大学の卒業旅行とのこと。感心していると、客が入ってきて係員が席が違うと言う。右側のNo.3に入ったが、左側が正しかったようで恐縮しながら移動。切符にParterre Loge Linksとあるのを理解できなかった失敗。

プログラムを買って(4E)、あらすじを確認。アイーダは一昨年、北京で公演ポスターをよく見かけたし、象やラクダまで出演させる大舞台で評判になったが、筋書きは細かくは知らなかった。舞台が始まると、手すりに埋め込まれている引き起こし型の小型液晶ディスプレイに、ドイツ語と英語の歌詞訳が表示される。

テーマが異なるから比較は出来ないが、数年まえパリオペラ座で見たカルメンよりも、重厚感のある舞台だ。特に、アイーダ役のプリマの声は素晴らしい。Hui Heという名前だから中国系の歌手だろう。小柄丸顔で太っているから、体型としては役にピッタリというわけではないが、アリアの良さは際立っていた。カーテンコールの拍手も多い。ラマダス役の男性も上手い。オペラ座での桂冠デビューとのこと。

幕間にはロビーで、白ワイン(@3.2E)を楽しむ。日本人も多く見かける。内部を少し見て歩くが、パリオペラ座よりも豪華な出来具合だ。ボックス席なので、クロークにコートを預ける手間はなく、終演後はそのまま外に出られる。スキー旅行途中の服装ではと気にしたが、観客はほどほどの服装で、着飾った人達はさほど多くなかった。@157Eの経験はなかなか楽しかった。

夕食は、ホテル近くのWitwe Bolte。気楽なレストランで、スープ、生ベーコンとレバーペースト、Reschinken(牛ハム)、カツレツ、赤白ワイン(65E)。生ベーコンは塊とナイフを木皿に乗せてくる。これがとても美味だった。ドイツ語を聞きそこなって押し売りされた、付け出しのようなものだが、店が奨めるだけのことはあった。カツレツは、大切れ2つで、硬め。肉質にもよるだろうが、揚げ方を日本のトンカツに学ぶべきだ。あやしげなドイツ語の注文で、赤ワインも500ml飲んでしまい、少々飲みすぎたが、ウイーン最後の晩餐は上出来。
 

 

2・28/3・1

 
  2・28

 ゆっくり朝食。9時、チェックアウトして、U3で、中央駅へ。S7に乗り換えて空港へ。免税店で、ロゼワインSchilcherを購入(@13E)。SK694は、2時間でコペンハーゲン着。

乗り換えチェックインしてから、ワイン免税分の払い戻しを受ける。一旦、到着口の税関で認証してもらってから、再度出発口から入って、リファンド窓口で10Eもらう。いささか手間がかかる。免税店で、ノルウエーキャビアとソーセージを購入。SK983は、消防車のような自動車で機体の雪を洗い流す作業をしてから離陸。

ワインのサービスのあと、食事。サーモンサラダ、肉団子だが、けっこう美味しい機内食だ。

  
3・1

ほぼ定刻、10:30に成田着。まだ梅が咲いている風景を眺めながら、2時過ぎ帰宅。

オーストリア・スキーの旅、無事終了。